ティー・ロウ・プライス 米国成長株ファンド
昨年末に設定されたティー・ロウ・プライス米国成長株ファンド(アメリカン ロイヤルロード)について分析してみたいと思います。
みずほ銀行、みずほ証券が販売会社になっており、みずほグループがかなり気合を入れて販売した投資信託です。
投資対象
アメリカの成長株です。「成長株」というワードが商品名の一部になっている投資信託は多いです。そもそもですが、成長しない銘柄の株式に投資するべきではないので、資産を増やそうとする投資信託であれば、成長株に投資するのが当たり前です。
組入れ銘柄を見てみましょう。ITプラットフォーム企業と呼ばれるアマゾン・マイクロソフト・アルファベット・アップル・フェイスブックの上位5銘柄が資産の30%程度を占めています。
出所:ティー・ロウ・プライス ジャパン
セクター別・国別投資配分が以下の通りです。米国市場以外にも10%程度投資しています。
出所:ティー・ロウ・プライス ジャパン
運用会社
米国のティー・ロウ・プライス社が運用しているマザーファンドに投資するファンドオブファンドです。
日本ではまだ知名度が高い運用会社とは言えませんが、投資信託の設定も増えています。
資産残高
2020年7月17日時点で3,455憶円の残高です。設定が2019年12月27日ですので、販売会社であるみずほグループがかなり気合を入れて販売した投資信託だと思います。
購入手数料
5,000万円未満が3.3%、5,000万円~10,000未満が1.65%、10,000万円以上が0.55%です。一般的な投資信託の購入手数料水準です。
信託報酬
1.463%/年
投資信託としては高くも安くもない信託報酬です。でも、やはりこの信託報酬は高いです。
日本の投資信託全体に言えることですが、運用成績が芳しくない投資信託が多いのに、信託報酬が高すぎます。
信託報酬の高さが運用成績を悪化させているとも言えます。
信託報酬が全体的に下がらない大きな理由として、投資信託市場が伸びていないからです。
市場全体が伸びれば、コストを下げてもフィーは維持できますが、残念ながら貯蓄から投資の流れはできていません。
運用会社(委託会社)、販売会社、受託会社も営利企業なので、取るべきものは取るべきです。
しかし、顧客利益を最大限にという建前があるのであれば、信託報酬が高いことが利益相反になっています。
投信市場が大きくなるためには、金融経済の教育、金融機関の販売体制など投信市場のインフラが変わる必要があります。
信託財産留保額
解約手数料はゼロです。
比較
上位組入銘柄が似ているインベスコ社のETF”QQQ”と比較しましょう。QQQはナスダック100に連動するETFです。
QQQの組入銘柄は100社、上位組入銘柄は以下の通りです。
出所:ブルームバーグ
QQQは米ドル建なので、為替変動分も考慮しました。
ティー・ロウ・プライス米国成長株ファンドは設定されてまだ半年程度ですので、今後に期待でしょう。
販売用資料を見る限り、過去はインデックス運用よりもかなりアウトパフォームしています。
結論
設定からまだ半年なので、結論を出すには早すぎますが、ETFによるコストを抑えた運用でも代替可能な投資信託とも言えます。
過去の運用実績を見る限りは、運用が上手いファンドにも見えますが、長期保有することにより、信託報酬というコストも積み重なってきます。
筆者は、運用成績と正比例しない投資信託のコストの高さがどうにも納得できないので、投資信託は敬遠しがちです。
中には、コストに見合った運用をする投資信託もありますが、かなりの投資信託がインデックス運用に負けています。
一般的な情報提供であり、サイト閲覧者、投資家へのアドバイスなどではありません。
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